What is Sexual Health? セクシャルヘルスとは

更新日:2022年6月28日
公開日:2021年8月27日

「リプロダクティブヘルスとは?」

リプロダクティブヘルス(Reproductive health)とは、「性と生殖に関する健康」という意味です。
女性が安心して子どもを産むためには、安全で満足できる性生活や、安全に出産できる環境などが必要です。また、そもそも子どもを産むのか産まないのか、産むとすればいつ、何人産むのかを女性自身が、自らのライフプランを考え、決める自由がなくてはなりません。そのため、「リプロダクティブヘルス&ライツ」ということもあります。「ライツ」とは「権利」のことです。
つまり、「リプロダクティブヘルス」という言葉の中には、性と生殖に関する「健康」に加え、「権利」も含まれています。 また、生殖可能な年齢に限定することなく女性の生涯にわたる健康を指し、さらには男性の性と生殖の健康、役割、責任なども包括しています。
性や避妊、妊娠・出産に対する正しい知識が、自分にも性交渉のパートナーにも足りないために、望まない妊娠をしてしまう人は少なくありません。
2018年度の人工妊娠中絶実施件数は16万1741件。減少傾向にはありますが、人口1000人あたり6.4件という頻度です。 望まない妊娠を避けることは、リプロダクティブヘルスにおいてとても重要です。そのためにも安全で効果的、かつ安価で使いやすい避妊法についての情報やサービスを誰もが入手できるようにすることが求められます。

 

女性のからだと人生を守るためにも必要な避妊

避妊法には、女性主体のもの、男性主体のもの、性感染症の予防効果もあるものなど、さまざまなものがあります。それぞれの特徴を知って、避妊効果が高く、自分の体や生活習慣に合うものを選びましょう。

低用量ピル(低用量経口避妊薬、OC)

2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)を含む薬を飲むことで、排卵を抑制したり、受精卵の着床を阻止することができます。また、精子が子宮内に入りにくくする効果もあります。女性が主体的に行える避妊法です。決められた用法容量を守り、きちんと飲むことで高い避妊効果が期待できます。生理不順、生理痛の改善が期待できる一方、喫煙者では使用できないことがあります。

IUS(子宮内避妊システム)

子宮内に装着したプラスチック製の器具から女性ホルモンの黄体ホルモンが放出され、受精卵を着床しにくくします。装着・抜去は医療機関で行います。一度装着すると、最長5年間避妊効果が続きます。装着後数カ月間生理以外の出血があるものの、その後は生理の出血が減り、生理痛が軽くなる効果もあります。まれに自然に体外に出てしまうことがあります。出産経験のある人に向いています。

UD(子宮内避妊用具)

子宮内に装着したプラスチック製の器具は受精や着床をしにくくします。避妊効果の高い銅イオンを放出するタイプもあります。装着・抜去は医療機関で行います。一度装着すると、2-5年間避妊効果が続きます。まれに自然に体外に出てしまうことがあります。出産経験のある人に向いています。

コンドーム

薄いゴム製の袋をペニスにかぶせ、精液が膣内に入るのを防ぎます。サイズの合ったものを選び、最初から装着することが大切です。安価で簡単に入手することができ、性感染症の予防も期待できます。一方、男性側の避妊への取り組みが求められます。

リズム法

基礎体温を毎朝測定して排卵期を予測し、その期間はセックスを避ける方法です。
自分の生理周期を把握する点ではよいのですが、風邪など体調の変化で基礎体温が変動することもあり、排卵期の予測が難しく、避妊の失敗リスクが高い避妊法です。

避妊手術

医療機関で手術を受けます。女性の場合は卵管、男性の場合は精管を糸で結び(あるいは切断し)、卵子や精子が通れないようにします。手術による体への負担があり、その後、妊娠しにくくなる、女性の場合は子宮外妊娠のリスクが高くなります。

避妊法のまとめ

  女性主体の避妊か 性感染症の予防効果あるか 避妊の失敗率 使用に関わる方法
低用量ピル × 0.3(9%) 医療機関で処方してもらい、内服
IUS × 0.2 医療機関で処置
IUD × 0.6 医療機関で処置
コンドーム × 2(18%) ドラッグストアなどで購入
リズム法 × 0.4-0.5(24%) ドラッグストアなどで婦人体温計を購入し、計測
避妊手術 × 女0.5%男0.10& 医療機関で処置

※見切れている場合は横にスクロールしてご覧ください


( )内の失敗率:避妊法を使用しているにもかかわらず妊娠した場合。低用量ピルの飲み忘れ、コンドームの破損、脱落などのケースが考えられる。
避妊の失敗率については、Contraceptive Technology, 20 ed,.Ardent Media, 2011 Table3-2 を参考とした。

緊急避妊薬(アフターピル)という選択肢

どんな避妊法も100%の避妊効果はありません。コンドームが外れてしまったなど妊娠の可能性が考えられる場合は、緊急避妊薬(アフターピル)の使用が検討されます。 また、同意なく性行為が行われた場合には積極的に緊急避妊薬の使用を考えましょう。

緊急避妊薬(アフターピル)

セックス後、72時間以内(3日以内)に飲むことで、排卵が抑制されたり、受精が妨げられたりします。黄体ホルモンという女性ホルモンを主成分としており、安全性、避妊効果ともに高く世界中で使われています。
日本では医師の処方が必要なので、なるべく早く婦人科にアクセスしなければなりません。2019年にオンライン診療での処方が可能になりましたが、より早く入手するために薬局やドラッグストアで購入できるよう、「#緊急避妊薬を薬局で」という市民活動が起こり、厚生労働大臣への要望書が2020年7月に提出されました。厚生労働省のウェブサイトには、掲載を希望した緊急避妊にかかる対面診療が可能な産婦人科医療機関等一覧があります。緊急避妊薬については、こちらのページもご覧ください

経口妊娠中絶薬という選択肢

経口妊娠中絶薬

日本では妊娠中絶をする場合、外科的人工妊娠中絶が行われます。手術には真空吸引法と掻爬(そうは)法の2通りの方法がありますが、身体的な負担に加え、精神的、経済的、社会的な負担も重いものです。一方、海外では多く使用されている経口妊娠中絶薬は、最後の月経が始まった日から49日(妊娠7週)以内に使用するという制約がありますが、身体的な負担を大きく減らせることができるものです。詳しくはこちらのページをご覧ください。