What is Sexual Health? セクシャルヘルスとは

「セクシャリティーとは?」

  

「セクシャリティー(Sexuality)」は、人間の性のあり方全般を表す言葉です。漠然とした言葉だと感じるかもしれませんが、LGBTQなどのセクシャルマイノリティー(性的少数者)や、ジェンダーを理解するために知っておきたい言葉です。 セクシャリティーをはっきり定義することは難しいのですが、次の4つの要素があるといわれています。

(1)生物学的な性(Sex/セックス)

生まれたときの医学的な判断により割り当てられた性。身体の性。
医学的な性別の判断は外性器をみて行いますが、外見では判断が難しいこともあります。その場合は内性器の状態を詳しく調べるなどして判断します。
その上で、出生届に男か女を記入します。母子手帳には男と女の他に不明という選択肢がありますが、この「不明」は、外見で性別の判断が難しいときに医学的判断が行われるまでの選択肢といえます。

(2)性自認(GI:Gender Identity/ジェンダー・アイデンティティー)

自分自身が認識している性。性同一性、こころの性。
男性、女性のほかに、まだ分からない(模索中=Questioning/クエスチョニング)、医学的に割り当てられた男性・女性のどちらでもない性(Xジェンダー)などがあります。

(3)性役割(Gender/ジェンダー)

社会から期待される性。
性別によって期待される行動や役割のことをいい、見た目や服装、しぐさ、言動などが含まれます。「男らしさ」「女らしさ」といったものや、「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という考え方と捉えるとわかりやすいでしょう。

(4)性的指向(SO: Sexual Orientation/セクシャル・オリエンテーション)

自分がどのような相手に対して恋愛感情や性的魅力を感じるか。
女性を対象とする、男性を対象とする、男性・女性の両方を対象とする、性別に関係なく他者に対して恋愛感情や性的魅力を感じないなど、さまざまなバリエーションがあります。

ジェンダーとは

ジェンダー(Gender)とは、社会的・文化的につくられる性別のことです。生物学的な性(身体的な性)とは別に存在する、男性は外で働き生活費を稼ぐ、女性は家事や育児、介護を行うなど、社会から期待される性役割がジェンダーで、男女間だけではなく、セクシャルマイノリティーに対する差別や偏見、不平等を生み出す根源となっています。
近年は、ジェンダーに基づく差別や偏見、不平等をなくし、いかなるセクシャリティーでも権利が守られる平等な社会を目指そうという意識が高まり、さまざまな活動が活発化するとともに変革が起こっています。

LGBTQとは

性的指向、性自認に関する言葉はさまざまですが、よく耳にする言葉に「LGBTQ」があります。「L」はレズビアン、「G」はゲイ、「B」はバイセクシャル、「T」はトランスジェンダー、「Q」はクエスチョニングを表しています。

L:Lesbian(レズビアン)
女性同性愛者。性自認が「女性」で性的指向が「女性」の人。

G:Gay(ゲイ)
男性同性愛者。性自認が「男性」で性的指向が「男性」の人。

B:Bisexual(バイセクシャル)
両性愛者。性的指向が「女性」「男性」両方の人。

T:Transgender(トランスジェンダー)
生物学的な性と性自認が一致しないために、自分の生物学的な性に違和感を持つ人。
これまで性同一性障害は精神疾患として捉えられてきましたが、近年は性の多様性のひとつという理解が進んでいます。性別にとらわれない生き方を選ぶ人などもトランスジェンダーということができる。

Q:Questioning(クエスチョニング)
性自認が定まっていない人全般を指す。

LGBTQという言葉は、セクシャルマイノリティーを表す意味で使われることがあります。このほかにも、次のような言葉がセクシャリティーを表すものとして使われています。

Pansexual(パンセクシャル)
あらゆるセクシャリティーの人に対して恋愛感情や性的魅力を感じる人のことで、日本語に訳すと「全性愛者」。Omnisexual(オムニセクシャル)ともいわれる。

Polysexual(ポリセクシャル)
複数のセクシャリティーに対して恋愛感情や性的魅力を感じる人のことで、日本語に訳すと「複数性愛者」。パンセクシャルとは「恋愛対象にセクシャリティーを条件にしている」「恋愛対象にならないセクシャリティーも存在する」という点で異なる。

Asexual(アセクシャル)
他者に対して恋愛感情や性的行為への欲求を抱かない人のことで、日本語に訳すと「無性愛者」。性行為に嫌悪感を抱く「性嫌悪」や性的欲求自体が存在しない「無性欲」とは異なる。

このように、性的指向と性自認はさまざまです。セクシャリティーは「こころ」の部分がとても重要で、生物学的な性(Sex)とは必ずしも一致しません。また、どのようなセクシャリティーの人に恋愛感情や性的魅力を感じるかも人それぞれであり、他者がそれを否定できるものではなく、尊重されるべきものです。
セクシャリティーの多様性を認めることは、個人の尊厳を守り、ジェンダーに基づく偏見、差別、不平等を解消することにつながります。