Hepatitis C

C型肝炎とは?

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)の感染による、ウイルス性の肝障害です。
HCVに感染すると急性肝炎がおこりますが、一般に症状が軽く感染に気づかれることは稀です。しかし、約70%と高い確率で慢性肝炎に移行します。

慢性肝炎に移行すると、肝臓の中で炎症が持続的におこることで肝臓の組織が硬くなり、長期間かけて肝硬変とよばれる状態になります。肝硬変の初期まではほとんど自覚症状はありませんが、さらに線維化が進んで正常な組織が少なくなると、倦怠感、食欲不振にほか、黄疸、腹水、食道静脈瘤、脾腫、肝性脳症(集中力の低下や昏睡)などさまざまな症状をひきおこします。また、線維化が進むほど肝がんを発症するリスクが高くなるといわれています。

C型肝炎の感染経路と予防法

C型肝炎ウイルスは、血液や血液が混じった体液を介して感染します。
かつては、輸血、医療従事者の針刺し事故、注射器の使いまわし、母子感染、などが主な感染原因でしたが、今は適切な対策がとられているため、日本でそのような経路で感染することはほとんどありません。

注意をしていれば、日常生活の場での感染するリスクはほとんどありません。歯ブラシ、ひげ剃り等の血液が付着する日用品は他人と共用せず、血液がついたものは、よく洗い流すか、包んで捨てましょう。衛生状態がよくない施設で、血液が付着するような手技は受けないことも大切です。

妊婦さんがC型肝炎ウイルスに感染している場合、産道で血液を介して赤ちゃんに感染することがあります。母子感染の頻度は5~10%程度といわれています。

性行為で感染することはほとんどないと言われてきましたが、近年は性行為による感染が増えています。出血しやすい性行為で感染するのではないかと考えられているほか、胆汁や糞便中には比較的高率にC型肝炎ウイルスが含まれていることが分かってきているため、アナルセックスはリスク因子と考えられてきています。そのため、コンドームを使用することは予防のため重要と考えられます。

他国では、麻薬静注者のHIVやHCVの感染を予防するため、清潔な注射器を提供するharm reductionの施策が行われています。日本では麻薬静注でHIVやHCVに感染するケースが少ないため、現在そのような施策は行われていません。医療麻薬以外の麻薬の使用は法律で固く禁じられており、法に触れると厳罰の対象となります。

C型肝炎の検査

C型肝炎ウイルスに関する検査には、2種類の血液検査があります。ウイルスが体内に侵入することでつくられる抗体を調べる方法と、ウイルスの遺伝子RNAを検出するHCV-RNA検査です。
過去に感染したことがあれば、たとえウイルスが体内から排除されていても抗体検査は陽性になります。通常は、抗体検査が陽性の方に対してHCV-RNA検査を行い、今、C型肝炎ウイルスが持続感染しているかどうかを確認します。

C型肝炎の治療

C型肝炎の治療には、ウイルスを体内から排除する抗ウイルス療法と、なんらかの理由でウイルスを排除できない場合に肝臓を保護して進行を抑える肝庇護療法の2つがあります。近年、抗ウイルス療法は大きく進歩し、経口の抗ウイルス薬により高い確率でウイルスの排除に成功しています。
感染が慢性化せず、自然にウイルスが排除された場合は特に治療の必要はありません。

専門の医師により、慢性化しているかどうか、抗ウイルス療法の適応があるかどうかなど、十分な吟味の上で治療方針が決定されます。健診などでC型肝炎ウイルスの感染が疑われたら、早めに医師の診察を受けましょう。