Amoebiasis

アメーバ赤痢(Amoebiasis)とは?

アメーバ症は、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という原虫(微生物)による感染症です。腸に感染して大腸アメーバ症を発症すると、発熱、腹痛、下痢、血便(血液と粘液が混じったゼリー状の便)などの症状がみられます。腸の外に病変をつくることもあり、最も頻度が高いのはアメーバ性肝膿瘍です。この場合、肝臓の中に膿のたまりができ、発熱や右上腹部痛がみられます。

アメーバ赤痢の感染経路と予防法

赤痢アメーバ原虫は、感染した人の便に排出されます。そのため、感染者の便で汚染されたものを何らかの形で口から摂取した時に感染します。感染者の糞便中には、症状がない時でも原虫が排出され、感染源になります。
感染した人が手をよく洗わずに食べものを調理することで感染するほか、オーラルセックスや肛門をなめたりする性行為で感染することから、性感染症として流行することがあります。衛生状態のよくない地域では、持続的な流行がみられます。デイケア施設や老人ドームでの集団感染もときどきみられます。
感染予防のためには、トイレを使った後、おむつを替えた後、食べものを取り扱う前などに、石けんと水で手を洗うことが重要です。感染者とのオーラルセックスや肛門をなめたりする性行為、衛生状態のよくない地域では汚染された水を摂取することなど、リスクのある行為を避けることも重要です。
コンドームを使用し、肛門との直接の接触を避けることは、予防に一定の効果があると考えられます。

アメーバ赤痢の検査

流行地への旅行歴やリスクのある性行為歴などから、アメーバ症が疑われた場合は、便の中にアメーバ原虫がいるかどうかを顕微鏡で調べます。腸炎の場合、大腸内視鏡検査が行われることがあります。腸の外の病変が疑われる場合は、病変の部位に応じた画像検査が行われます。
パートナーがアメーバ赤痢と診断された場合、流行地から帰ってきた後に下痢などの自覚症状が出現した場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

アメーバ赤痢の治療

アメーバ原虫に有効な抗菌薬の内服薬が用いられます。
赤痢アメーバはシスト(嚢子)とよばれる状態のものと、栄養型とよばれる状態の2つのタイプがあります。症状をひきおこしているのは栄養型のため、まず栄養型に有効な治療を行います。
その後、再発を防ぐため、シストに対する治療を行うことがあります。