日本へ渡航する方へ

近年、日本を旅行する方や、留学や就労目的で来日する方が増えています。
日本で医療を受ける際の一般的な注意事項についてまとめました。

旅行前の準備

持病のある方・服用中のお薬のある方

旅行前に、持病がある方は万が一に備えて、現在の治療内容が分かる書類を英文で用意しましょう。 日本で医療機関の受診が必要になった時に役立ちます。
日本では、ご自分の治療のために医療用麻薬や向精神病薬を携帯しなければならない場合、一定のルールがあります。医療用麻薬は、事前に地方厚生(支)局長の許可を受ける必要があります。向精神病薬は、持ち込む総量によって手続きが異なります。郵便によって輸入(輸出)したり、知人等に託して麻薬等を輸入(輸出)することはできません。

予防接種について

事前に必要な予防接種を済ませておきましょう。また、予防接種の記録を持参することも大切です。日本では、風疹と麻疹の流行がみられます。渡航前に予防接種を受けていることを確認してください。
2018年より男性同性間でのA型肝炎の流行がみられるほか、B型肝炎も散発的にみられます。リスクを考慮の上、A型肝炎・B型肝炎のワクチンを受けましょう。
*COVID-19については、以下のサイトから最新の情報を確認してください。
 https://www.japan.travel/jp/

健康保険への加入について

健康保険に加入していない場合、患者さんが負担する金額は高額となります。事前に民間の健康保険や旅行保険に加入しておきましょう。また、契約している保険の補償内容についても確認しておきましょう。
外国人登録をしていて、日本で3ヵ月以上の在留許可を得ている方とそのご家族は、日本の国民健康保険制度に加入する義務があります。企業で働いている外国の方は、会社経由で加入する健康保険の対象となっているため、個人で健康保険に加入する必要はありません。観光や日本で治療を受けることが目的の場合は、健康保険の対象にはなりません。

医療滞在ビザについて

日本において、治療等を受けることを目的として訪日する方に対しては、医療滞在ビザが発行されます。詳しくは、以下のサイトで最新情報を確認してください。
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/medical/patient.html

日本の医療制度について

日本では医療機関へのアクセスは比較的良好です。
しかしGeneral Practitioner (GP) 制度がないため、自分で最初にどの診療科を受診するのか判断する必要があります。また、大きな病院には診療所からの紹介状が必要がないと受診できない場合が多いです。眼科・耳鼻科などの特定の臓器に関する症状がある場合は、その科を標榜するクリニックを受診しましょう。どこか分からない場合や、全身的な症状の場合は、内科や小児科のクリニックを受診するのが普通です。

消防車・救急車・レスキュー隊の要請は119番に電話します。事故や事件が疑われる場合は、警察110番に連絡しましょう。
公衆電話から消防署や警察署に電話する場合は料金がかからないようになっています。
 https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/guide/kinkyu/01.html

初めての受診者を予約がなくても受け入れる医療機関も多数ありますが、予約しないと受診できない医療機関もあるため、受診前に確認しておきましょう。

受診する際は、健康保険証など健康保険に加入していることを証明する書類を必ず携帯しましょう。月に1回は、保険証の提示が求められます。
外国籍の方は、パスポートや滞在資格を証明する書類の提示を医療機関に求められることがあります。

病院を探すには

日本では、公営・民営の両方の医療施設が全国にあります。 実際に医療機関を探すときには、インターネット検索で受診先を探すことが一般的になっています。様々な医療機関検索サイトやアプリがありますが、受診者のコメントを掲載しているサイトでは、特定の医療機関に対して事実と異なる偏ったコメントが掲載されている場合もありますので、冷静に判断しましょう。また、検索サイトに掲載されている情報が古い場合もありますので、受診前に該当の医療機関に直接最新情報を確認しましょう。

都道府県が有する医療機関の情報を、医療法に基づいて住民に対して提供する医療機能情報提供制度(医療情報ネット)があります。
全国の都道府県ごとに、医療機関を検索できるようになっています。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html

現在、日本の医療サービスを外国人が安心・安全に享受できる体制の整備が進められています。その中に「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」があり、多言語での診療案内や宗教への対応等、日本人とは異なる文化・背景等に配慮した対応ができる医療機関を認証しています。以下のサイトで、JMIPに登録されている医療機関を検索することができます。
 http://jmip.jme.or.jp/index.php

その他にも同様の認証を行っている団体・事業があります。
・日本政府観光局(JNTO)訪日外国人旅行者受入医療機関リスト
 https://www.jnto.go.jp/emergency/jpn/mi_guide.html
・一般社団法人Medical Excellence JPAN(MEJ)
 https://medicalexcellencejapan.org/jp/

保護者の方が、休日・夜間の子供の症状にどのように対応したらよいか困った場合に、医師や看護師に相談できる電話相談窓口#8000もあります。
 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
ただし、必ずしも外国語の対応ができるわけではありません。

医療通訳を探すには

都市部では、英語を話す医師や、外国人の受け入れに積極的な医療機関をみつけることは難しくありません。英語以外の言語や、都市部以外で英語を話す医師を探すのは難しい場合があります。また、小さなクリニックでは、多言語に対応するサービスを導入できていないことが多いです。

医療施設の検索の際は、通訳のサービスが利用できるかどうかを一緒に確認することをおすすめします。「病院を探すには」で示したとおり、日本では外国人の患者さんが増加しているため、外国人の患者さんが安心して受診できるよう、体制づくりが進んでいます。外国人患者さんの受け入れについて、一定のサービス水準に達していることを認める制度がいくつかあり、その認証を受けた病院ならば複数の言語に対応できる確率が高くなります。

また、都道府県が日本語を話せない患者さんに対し、何らかの医療通訳支援を独自に行っていることがあります。ウェブサイトなどでお住いの自治体にそのような支援策がないか確認してみましょう。

病院は、常に個人情報の管理に細心の注意を払っており、また治療方針について正しく同意を得るために、医療者側の意図が間違いなく伝わるよう最大限の努力をしています。日本語を話す家族や友人に通訳を依頼する場合は、ご自分の病状をその方にも伝えることになります。また、その方の日本語の理解力によっては、通訳の際に必ずしも正しく訳されないこともあります。お手伝いを依頼するときは、これらをよく考えた上でお願いしましょう。

医療費について

「旅行前に注意すること」に示したとおり、事前に民間の健康保険や旅行保険に加入しておきましょう。また、契約内容についても確認しておきましょう。また、契約している保険の補償内容についても確認しておきましょう。日本に到着してから加入できる民間の保険もあります。外国人登録をしていて、日本で3ヵ月以上の在留許可を得ている方とそのご家族は、日本の国民健康保険制度に加入する義務があります。企業で働いている外国の方は、会社経由で加入する健康保険の対象となっているため、個人で健康保険に加入する必要はありません。観光や日本で治療を受けることが目的の場合は、健康保険の対象にはなりません。

国民健康保険に加入している場合、医療費の30%のみを支払うことになります。健康保険に加入していない場合、患者さんが負担する金額はたいへん高額となります。

医学的に必要とされるほとんどの治療費用は医療保険でカバーされます。しかし、医学的緊急時以外の時間外受診、診断書料、妊婦検診や出産にかかる費用、歯科診療、健康診断、検診、などは医療保険ではカバーされません。事前に医療機関にお問い合せください。

クレジットカードの支払いに対応していない医療機関も多いため、一定の現金を用意して受診した方がよいでしょう。
民間の健康保険に加入した場合は、払い戻しの手続きに備えて、領収書を保管しておくようにしましょう。

病院での一般的な診察の流れ

病院受診までの一般的なプロセスは以下のとおりです。

  1. 0.受診前の問い合わせ

    受診前に、医療機関に問い合わせて、初診の受付日時・予約の必要性・紹介状の必要性を確認しましょう。
    クレジットカードでの支払いを希望する場合は、クレジットカード払いに対応しているかどうか確認しておきましょう。

  2. 1.受付

    病院に到着したら受付に行き、初診であることを伝えます。健康保険証と、ある場合は紹介状を提示します。
    外国籍の方の場合、パスポートなどの身分証明書の提示を求められることがあります。
    また、日本居住者でない場合は、デポジットの支払いを求められることがあります。

  3. 2. 問診票等の記載

    通常、問診票の記載を求められます。
    現在の症状のほか、これまでの既往症やアレルギーなども伝えましょう。
    診察前に、体温などの測定をお願いされることがあります。

  4. 3. 診察・検査

    もし予約なしで受診した場合、受付順に医師の診察に呼ばれることが多いですが、患者さんの重症度に応じて順番が変わることがあります。
    受診者が多いと、待ち時間が長くなることがあります。

    医師の診察の結果、検査が必要と判断されれば、検査に案内されます。
    別の日に検査を指示されることもあります。

  5. 4. 会計

    診察や検査がすべて終わったら、会計窓口に行きます。
    保険内診療であれば、日本の診療報酬制度に定められた額の医療費が請求されます。
    保険でカバーされない診療の場合は、病院が別に定めた額が請求されます。

  6. 5. 処方

    処方が必要と判断されれば、処方箋が発行され、院内または院外の薬局( “chōzai yakkyoku” )で薬を受け取ります。

    調剤薬局に行ったら、処方箋と保険証を提示して処方を依頼します。
    調剤薬局は、医療機関の周囲に複数あることが多く、探すのに困ることはありません。
    ドラッグストアに調剤薬局が併設されていることもありますが、一般的ではありません。
    処方箋は多くの場合、有効期間が発効後4日間に限定されています。発行されたらすぐに受診しましょう。

    薬局からは、お薬手帳(“kusuri techō”)が発行され、様々な医療機関から受けた処方をひとつの手帳に記録していくことができるようになっています。
    服用について分からないことがあったら薬剤師に尋ねましょう。

  7. 6. 他院への紹介

    他院に紹介する必要があると医師が判断した場合、紹介状が発行されます。