HIV/AIDS

HIV、AIDSとは?

  

HIVとは、ヒト免疫不全ウイルス (Human Immunodeficiency Virus)の略称、つまりウイルスの名前です。
感染すると、徐々に免疫力(病原体から身を守る力)が低下し、様々な合併症をひきおこします。
エイズ (AIDS) とは後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome) の略称で、免疫力が低下した状態で特有の合併症を発症した状態を指します(*)。
HIVに感染しても、エイズを発症するまでにかかる時間は非常に個人差があり、急速に進行する場合もあれば、何年もかかる場合もあります。

HIVにいったん感染すると、体内からHIVを排除することはなく感染は生涯続きますが、抗ウイルス薬(抗レトロウイルス療法、またはARTと呼ばれる)で血液中のウイルス量を検出できないぐらいにおさえることができれば、合併症のリスクを抑え、通常の生活を送ることができます。
また性行為で相手に感染させるリスクもなくなります。そのため、HIVに感染した方全員に治療が強く推奨されています。
HIV感染症を、早期に診断して早期に治療することは、とても重要なことです。

HIVは精液、膣分泌液・血液・母乳などが感染源となり、性行為による感染、血液を介した感染、母子感染が感染経路の多くを占めます。
日常生活、学校生活、一般的な仕事で感染することは全くありません。

 http://www.acc.go.jp/information/mhlwinfo/surveillance.html

HIV感染を予防するには

HIV感染に感染する経路として最も多いのが性行為です。HIVをたくさん含む精液、膣分泌液が、粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすること、すなわちコンドームを使うことが非常に大切で効果的です。オーラルセックスの場合も、口の中の粘膜から感染の危険性があるため、コンドームを使用しましょう。
抗ウイルス薬をつかった予防方法もありますが、日本では健康保険の適応になっていません。また、抗ウイルス薬を服用するだけでなく、専門の知識を持った医師の指導を受けながら、HIVや副作用の有無をみる検査も同時に受けることが極めて重要です。

U=U

U=Uは、Undetectable(検出限界値未満)=Untransmittable(感染しない)の略で、HIVに感染していても治療により血中のウイルス量が検出限界未満までに抑えられれば、性行為で相手に感染させることはない、という意味です。
U=Uは、早期診断とHIV治療の普及と継続がHIV流行を終わらせる最も重要で確実な手段であることを示しており、HIV感染者に対する差別や偏見のない社会を実現するための世界的なスローガンとなっています。
HIV感染者自身にとっても、感染が分かってから性生活も含めて日常の生活を送ることができる、というメッセージになります。
 https://hiv-uujapan.org/

PEP

PEPとは、曝露後予防(post exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染したかもしれない行為の後(曝露後)72時間以内に、抗HIV薬(HIVに対する治療薬)の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下させる予防策のことをいいます。HIV陽性患者さんに使用した医療器具で針刺しなど医療曝露事故がおきた場合や、性交渉の相手がHIVに感染していたことが後で分かった場合などに用いられます。
PEPが開始された場合、抗ウイルス薬の内服を28日間続ける必要があります。

どのような方がPEPの対象となるか

HIV感染者(あるいはその可能性がある人)とHIVに感染しうる性交渉(例:コンドームなしのSex)をもって72時間以内の方が主な対象となります。
 http://www.acc.go.jp/general/pep_jpn.html
性行為の相手がHIV陰性者であると分かっている場合、あるいはご自身がすでにHIVに感染している場合は、PEPの対象にはなりません。PEP開始にあたりHIV検査を受ける必要があります。

PEPの注意点

PEPでは、HIV感染症の治療に使われるのと同じ抗ウイルス薬を3種類28日間服用します。
抗ウイルス薬は、嘔気などの副作用を起こすことがあります。副作用の多くは、制吐剤などで軽減できる程度の軽度なものですが、中にはアレルギーをおこしたり、肝臓や腎臓の機能に影響を与えたりするものがあります。そのため、PEP開始後14日目に医師の診察を受け、副作用がなければ残りの14日間が処方されるのが一般的です。処方した医師の指示に従い、継続的に診察を受けましょう。
性交渉後の曝露後予防を目的とした抗ウイルス薬の内服は、日本では未承認です。健康保険を使うことができませんので、すべて自費で支払う必要があります。薬剤費用に加えて、診察料や検査料が必要に応じて追加されます。

PrEP

PrEPとは、曝露前予防(pre-exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染していない方が、抗ウイルス薬を服用することでHIV感染のリスクを低下させる予防策のことをいいます。
性行為をするときにみんなが予防的に薬を内服する必要はありませんが、きわめてリスクの高い状況では有効な方法です。100%の予防を約束できるわけではないことや、他のSTIを同時に予防するために、コンドームの併用が勧められます。
現在、PrEPでは2種類の抗ウイルス薬を含む合剤が広く使われています。様々なPrEPの服用方法や薬が開発中にあり、将来的にPrEPの方法についても選択肢が増える可能性があります。

どのような方がPrEPの対象となるか

現在HIVに感染しておらず、かつHIV感染のリスクがある方が対象となります。
十分な治療を受けていないHIV感染者のパートナーの存在、最近STIにかかった、コンドームを使わない性行為をする機会が多い、などの場合が考えられます。
性行為をする方全員がPrEPを服用する必要はありません。事前に医師とリスクを確認した上で服用を開始してください。

PrEPの注意点

性行為をする前(曝露前)から服用しておく必要があります。薬を服用し忘れたり誤った服用方法をしていたりすると、十分な効果が得られません。必ず医師の指導のもと服用しましょう。また、100%の予防を約束できるわけではないことや、他のSTIを同時に予防するため、コンドームの併用が勧められます。PrEPの服用を中止する時も、必ず医師に相談してください。
抗ウイルス薬の副作用やHIV感染の有無を確認するために、医療機関を定期的に受診する必要があります。自己判断で薬を服用すると、重篤な合併症に気づかず放置されてしまうリスクや、HIVに感染し薬剤耐性ウイルス(薬の効かないウイルス)が生じてしまうリスクがあります。
抗ウイルス薬を予防の目的で服用することは、日本では承認されていません。インターネット上のオンラインショップを介し個人輸入でPrEPの薬を入手する方が増えています。自己判断で服用することは大変危険ですので、必ず医師に相談した上で服用を行ってください。

HIVに感染したかを調べるには

いつ?

HIVに感染したとき、最初の2-6週間で高熱、発疹などの症状が出ることがありますが、すぐに症状はなくなり、感染に気がつかれないことが多いです。
何も症状がなくても少しでも気がかりなことがあったら検査を受けることが大切です。

HIV検査は全国のほとんどの保健所等で無料・匿名で検査が受けられます。陰性であればその日のうちに結果が分かる「即日検査」を実施している検査施設も増えています。最近では、郵送検査キットを用いたHIV検査も世界的に広く行われています。

医療機関でもHIV検査が受けられます。
一度に2つ以上の性感染症に感染することもありえます。気になることがあったら積極的に医師に相談しましょう。

お知らせ

現在、新型コロナウイルス感染症対策のため、保健所での通常のHIV検査が縮小している可能性があります。
HIV検査を希望される方は、保健所のホームページなどで事前にご確認ください。