第99回HGPIセミナー「Fast-Track Citiesから得た教訓」開催のご案内

2021 年 8 月 26 日

本セミナーは、HGPIとUNAIDSの間で結ばれた覚書(MOU: Memorandum of Understanding)のもとで開催されます。
HGPIとUNAIDSは対話と協働を通じて、アジア太平洋地域における公衆衛生上の喫緊の課題であるエイズ流行の終結を推進することを目指しています。

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 1981年、アメリカにおいて後にエイズと呼ばれる最初の症例が報告されました。それから40年が経ち、未だ課題はあるものの、数十年にわたる研究と公衆衛生的介入により、新規HIV感染者は世界的に減少しています。一方で、現在、世界各国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19: Coronavirus Disease 2019)の世界的な感染拡大という新たな課題に直面しています。COVID-19のパンデミックは、世界で最も脆弱なコミュニティに深刻な影響を及ぼしており、医療システムや医療提供体制における混乱は、HIVの感染流行終結に向けた進展を脅かしています。そのような中、グローバルヘルスコミュニティは、世界各地で取り組んできたHIVでの経験や知見をCOVID-19の感染症対策に活かすことができています。

 2021年6月8日~10日に開催された「国連HIV/エイズ・ハイレベル会合」では、2030年までのエイズ流行終結に関する新たな目標が盛り込まれた政治宣言が採択されました。この政治宣言は、患者を中心とした効果的かつ包括的HIV予防の提供を加盟国に求めるものです。これが実施されることにより、2030年までに360万人の新規HIV感染者と170万人のエイズ関連死を防ぐことが期待されます。

 日本では、東京や大阪などの都市部において、特に若い男性間性交渉者の間でHIVの感染率が高いことがわかっています。全体的には新規HIV感染者は減少傾向にありますが、未だに感染者が増加している地域もあります。そのため、地域の現状を反映したHIV対策が必要です。

 Fast-Track Cities Initiativeは、2030年までのエイズ流行終結を実現するために、都市が重要な役割を果たすべきという認識のもとに設立されました。国内では都市部では、人との接触機会、地方からの移住、不安定な雇用環境などによる失業、そして社会および経済的な格差により、HIV感染率が比較的高い傾向があります。そのため、都市を中心にHIV/AIDS対策を推し進めることが有効と考えられ歴史的にも主導的な役割を担ってきました。Fast-Track Cities Initiativeは、都市がHIVへの対応を迅速に進め、エイズを終結させるという目標を達成できるように支援しています。

 日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)が主催・開催されているHGPIセミナーは、今回で第99回目を迎えられます。このセミナーでは、2030年までにエイズ流行を終結させるための戦略や、国連合同エイズ計画(UNAIDS)がHIV/AIDS対策で得た教訓をCOVID-19の危機にどのように応用できるかについての議論を、さらに本研究班代表の田沼より、国内のHIV/AIDSの現状や予防対策についての講演が予定されています。


スピーカー:
 イーモン・マーフィー 氏(国連合同エイズ計画(UNAIDS)アジア太平洋地域事務所長)
 田沼 順子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 医療情報室長)

日時:2021年8月31日(火曜日)18:30~20:00

開催方法:Zoomウェビナーによるオンライン開催

参加費:無料

定員:500名

主催:日本医療政策機構

本セミナーは英語のみで行われます。同時通訳はございませんのでご注意ください。

 

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